紅包と贈答の慣習
祝福を添えて贈るお金
赤い袋は、お金の贈り物を、受け取る人の幸福、幸運、成功への願いに変えます。春節には、新しい年を迎える子どもに対する年長の世代の愛情と期待が込められることがよくあります。結婚式では二人を祝い、新生活を支えます。お金は実用的であり、赤い袋と添える言葉が、贈り物の目的を明らかにします。
紅包(hongbao、红包)は、文字どおりには「赤い包み」を意味する普通話の名称です。ほかにも、広東語の利是(lai see)や、福建語に由来する ang bao、ang pow という呼び名がよく知られています。新年に子どもへ贈るお金は、圧歳銭(yasuiqian、压岁钱)とも呼ばれます。赤い袋は新年の訪問の季節だけでなく、誕生日、子どもの誕生、その他の喜ばしい節目にも使われます。
袋の意匠は、通常、その機会に合わせます。新年用なら季節の祝福や十二生肖の動物を、婚礼用なら双喜の印を載せることがあります。書、花、金色の飾りによって、複雑な意匠でなくても晴れやかな見た目になります。
子どもを守る古くからの願い
新年に贈るお金には、祝いだけでなく、災いから守る意味もあります。清末の記述には、色の付いたひもに銭を通したものや、年長者が子どもにお金を与える習慣が記録されています。こうした贈り物は、新年にお金を贈る習慣が、見慣れた印刷入りの袋よりも古いことを示しています。
よく語られる物語は、祟(Sui)という恐ろしい訪問者によって、子どもを守る願いを説明します。大晦日の夜、この怪物は眠っている子どもに近づいて害を与えます。ある家では、赤い紙に包んだ銭を子どもに渡して遊ばせます。子どもが眠り、祟が近づくと、銭から光が放たれ、怪物を追い払います。ほかの家庭も、子どもを守るために同じ贈り物をするようになります。この物語は、圧歳銭を祟を退けることと結び付けますが、民間の説明であり、誰が習慣を始めたかを記録したものではありません。
誰が贈り、どのように受け渡すか
親、祖父母、その他の年長の親戚は、子どもや若い家族に新年の紅包を贈ることがよくあります。一部の社会では、結婚が、未婚の年少者に贈る側になる節目とされます。別の地域では、年齢、収入を得ているかどうか、家庭独自の習慣のほうが重視されます。働く大人が、親や祖父母への気遣いと敬意を表すために贈ることもあります。
職場の紅包は、異なる関係に基づいています。雇用主が季節の好意を示して従業員に贈る場合がある一方、結婚式の招待客は、祝われる二人に贈ります。
受け渡しには、通常、挨拶と感謝の言葉が伴います。両手で差し出し、両手で受け取ることは、多くの家庭で丁寧な作法とされています。受け取った人は、贈り手の前で金額を数えるのではなく、いったんしまって後で開けることがよくあります。そうすることで、祝福の言葉と人間関係を、その場の中心に保てます。
金額は、機会、関係の近さ、地域の期待、贈り手の経済状況によって変わります。祝い事では偶数の金額が好まれることが多く、「四」が死を連想させるため、その数字を含む金額を避ける人もいます。清潔な紙幣をきちんと整え、ふさわしい挨拶を添えることは、袋の見た目と同じくらい重要な場合があります。
紙の袋とデジタルの贈り物
紙の袋なら、訪問中に手渡したり、子どもの手にそっと渡したり、祝いの言葉とともに差し出したりできます。印刷された袋は、すぐに使える晴れやかな形を整え、手書きの言葉は、願いをその人に向けたものにできます。
デジタルの紅包は、同じなじみ深い名前を、メッセージや決済のサービスへ持ち込みます。離れた場所にもお金と挨拶を送ることができ、グループでのやり取りでは、受け取ることが皆で楽しむ遊びにもなります。形式が変わると出会い方も変わり、実物の袋の代わりに携帯電話へ通知が届きます。それでも送り手は、お金を特定の人、機会、願いと結び付けることができます。